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Selfishly

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忘却の枷3


~忘却の枷 3~

ロイは吐き出された吐息さえも吸い込もうと、開けられた唇を塞いでしまう。
1度目は味わうにも余裕がなく、無我夢中で口内を攻め続けたが、
こうして咀嚼するようにしてみれば、どうして1度目で気づけなかったのかと
残念で仕方ない位、エドワードの口腔は気持ちが良くて仕方が無い。
巻きつける仕草を行えば、既に手順を覚えているのか、素直に巻き返してくる。
歯列を辿るようにすれば、その裏を淫猥に撫でる動きで煽ってくる。
そうなってくると、たかが始まりの挨拶の筈が、それが終わりのように全力で
行為を続けている自分がいて、エドワードが焦れるように腰を擦り付けてこなければ、
飽きもせずにそのままコトを終えてしまっていたかもしれない。

「危ないな・・・、全く君には降参だ」

それでも名残惜しげに舌を差し入れ、違っているのはその行為の最中にも
手が他を撫で始めることだ。
効果の早い薬のおかげで、エドワードの身体は既に情欲に染め上げられており、
少しの接触でも、歓喜の喜びと共に訴えてくる。

『もっと』と、『さらに強く』とも。

ロイは女性とは違い平らな胸を揉みしだくように手も平を動かし、
ここにも性感帯があると主張している小さな突起を摘み上げてやる。
それだけのことでも、敏感になっているエドワードの身体には余程感じるらしく、
触れれば啼かん名器のように、高らかな嬌声を響かせてくれる。

「あっああ・・んー」

その声がもっと聞きたくて、小さな粒に赤子のように吸い付いては、
唇でもぎ取ろうと捏ね繰り回す。

「あっあああー  んんっ  っつぅー」

ロイの唇の動きにあわして、忙しなく上がる声は、ロイを凶悪な程追い上げていく。
目の前で身悶える哀れな子羊を食い殺したとしても、今のロイを責める事が出来るものはいないだろう。
それほどに、エドワードの乱れる痴態は強烈なのだから。
それを知らしめるかのように、カリリッと音を立てて粒を噛んでやると、
途端に強すぎる刺激に、乗り上げているロイを押し上げるほどに跳ね上がる。

「ヒッアー!!」

声と同時に震える体と、生暖かい感触が、彼がイッたことを伝えてくる。

ハァハァハァと荒い息を付いて上下させる胸を撫でながら、
ロイは嬉しそうに問いかける。

「そんなに好かったのかい? 触れもしない内から、イク程?」

一度の発射にもすぐさま勃ち上がりを見せているソコは、
自身の体液で、ぬらりと妖しい光沢を放っている。

「エドワード、ここにも触れて欲しいかい?」

そう耳元に声を吹き込みながら、雫で湿っている元をゆっくりと指でなぞってやる。
その感覚に腰を揺らして見せる様子に、ロイは満足そうに笑って、言葉を続ける。

「じゃあ、欲しいと。 ロイとお願いして?」

そう教え込みながら、焦らすようにゆっくりと指を這わせる。

「あっ・・・ん、ああっ・・・ はや・・くぅ」

身を焦がすような焦れったさを振りほどくように、エドワードは頭を振っては
美しい金糸を惜しげもなく、シーツにばら撒いていく。

「じゃぁ、ロイ欲しいと、触ってと言ってご覧」

温い刺激を生み出す指しか与えてくれない相手に、エドワードはたまりかねたように
自身に手を伸ばす。 そして、直ぐにでも刺激を与えようとした手の平を
ロイがやんわりと掴み上げて、塞いでしまう。

「駄目だよ」
クスクスとエドワードの狂乱ぶりを楽しむ笑い声を上げながら、
堪え性の無い青年を嗜める。

「君のそんな姿も見てみたいけど、まずは私にも感じさせて欲しいね」

勿論、見ているだけでも十分感じてはいるが、それは夢でも嫌と言うほど味わわされた。
今出来る事が1つなら、見て感じるのではなく、実際体感させて欲しいのだ。
そして、出来ることなら、前回は呼んで貰えなかった、自分を呼び叫んで欲しい。

「さぁ、ロイ、お願いと」

封じられた両手を取り戻そうと捩る身体を組み敷きながら、
ロイはゆっくりと情欲を煽る手の動きを続けていく。
温い刺激でも、敏感になっているエドワードには十分と堪える。
はらはらと流される涙の量が、彼の切羽詰った状態を表しているようだ。

「お・・ねがい、はや・・くっぅ」

突き出された腰に、ロイは腹を擦り付けて遣りながらも、
最後の言葉まで促していく。

もうとめどなく流れ出す涙が、エドワードの限界が迫っているのを訴えてくる。

「さぁ、言って」

少しばかり声に焦燥感が募るのは、ロイも限界が迫ってきているからだ。
エドワードの媚態だけでも、いきそうになるのに、名前を呼んで欲しいが為に
堪えている自分の忍耐力は、想像を絶する位に絞り込まれているのだから。

「ろ・・・いぃー、お・・ねがい・・さわってぇ! はやくぅー」

一旦溢れ出すと、エドワードの口からは静止の出来ない欲望が言葉になって吐き出されてくる。

「はや・・く ねぇ、ロイ・・ はやくってばぁ・・・」

強請り声は、涙と嗚咽に混じって吐き出されていく。
彼から自分へと強請られている声を聞いた瞬間、ロイは満たされる快感が体中を駆け巡るのを
震えと慄きと共に痛感した。
誰でもない、彼に呼ばれる自分の名。 
セックスとは、本当に身体だけでするものではないのだと実感した瞬間。
彼になら、名を呼ばれただけでも、十分と果てれそうだ。

ロイは我慢を強いる事のなくなった衝動に身を任せて、震えては絶え間なく蜜を零している果実に
口をつけては、1滴も残さない勢いで吸い上げ、吐き出させようと躍起になる。
そしてその合間にも、自分が注ぎ込む為にと、蕾に花開かせる準備を施していく。

1度目よりも2度目の方が、更にロイを虜にして行く肢体は、
味わう毎に旨みを見出していく。

『まるで麻薬のようだ・・・』

と、快感で霞む頭で、今まさに夢中で貪り続けている彼を思う。
こうやって毒に犯されながらも、喜びを手放せなくなっていく自分は、
麻薬中毒の患者そのものだろう・・・エドワードという強烈な毒の。

上げられる嬌声にどこまでも煽られ続け、
振るえている癖に、自分に絡んで離れない身体にのめり込む。
涙で溢れる瞳に自分の姿を認めては、満足の吐息を付き。
打ち込んでいる身体の熱さに、酩酊する程の充足感を感じ、
ロイはエドワードが気を失うまで、ずっと毒に浸され続けていく。

気を失いグチャグチャに汚れきった身体を抱え上げたときには、
自分が毒に犯されきって、抜けきれないジャンキーになるだろうことを、
遠く、それこそ他人事のように知ったのだった。






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